「文章教室」 [本]
文春文庫
金井美恵子 著
金井さんのエッセイは結構好きで、さらに「文章読本」という類の本も結構好きな自分にとって、この本はかなり楽しみにしていました。
と、冒頭から登場してくるのは「佐藤絵真」という主婦の主人公。
彼女は夫や自分の浮気などいろいろなことがあったことを「文章として綴ってみたい」という思いに駆られ、現役作家が講師をしている「文章教室」に通うことにします。
絵真が書いた文章や出来事などがつらつらと描かれていき、そして後半は解説のような形になっていくのかな・・・?
と思っていた自分は見事に術中にはまっていたようです。
この本、最初から最後まで「小説」なんですね〜!
なのですが、ありとあらゆる文章からの引用(と、冒頭では断られている)があちこちにちりばめられているんですね。
文章をそれほど読む方ではないし、しかもその中の文章を覚えているほどのアタマを持っていない自分には当然元ネタなんて分かるはずもないのですが、そういうことを気にしなくても非常に楽しめます。
現役作家の彼女?ユイちゃんがその辺に転がっている本や雑誌の内容を読みまくる箇所、そこだけはかなり苦しかったですが・・・。
でも、名作と呼ばれている作品だけじゃなく、パンフレットや雑誌の文章までも分け隔てなく織り交ぜているのは面白かったです。
身の回りには意識すればするほど、たくさんの文章があるんだなーと実感しました。
そして物語としても非常に面白いです。
主人公絵真、そしてその娘の桜子を中心に話が進んでいくのですが、はじめは接点がないと思われた人物達がどんどん繋がって輪になっていく様子は面白すごい!って感じでした。
キャラクターとしても個性的な人物ばかりで、「街」の様子が見えてくるようで楽しかったです。
これが本当にいろいろな文章からの引用で成り立っているんだとしたら、あちこちに散らばっている断片を集め、そして再構成していくという金井さんの手腕には感服するばかりです。
批評的・エッセイ的じゃなくても「文章」について書くことができるんだなぁと、妙に感心してしまいました。
個人的には、オーソドックスな形の「文章教室」もちょっと、読んでみたかった気もしますけどね。
こんばんは。
金井美恵子、懐かしいですね~。この人は猫の事も色々書いてますよね。
「文章教室」、おもしろそうですね。色んな本からの引用ということは、
金井さんは膨大な量の読書をなさる方なんでしょうね。
このごろなかなか本が読めないんです。買うのは結構買うので、
どんどん本が溜まっちゃってます。
本をたくさん読むコツは、一冊ずつ読んでいくことなんだそうですね。
私の場合、3~4冊をあちこち読んでしまうので、なかなか一冊が読み終わらないという悪循環に陥っています。
これからは、一冊ずつ読もうっと。
by coco030705 (2007-09-03 23:29)
> ココさま
こんばんは!nice!とコメントありがとうございます!、金井さんの本は猫の話題も多いし、それでいてちょっと毒舌なところも好きなんです。
本当に、たくさんの文章を読んでいるんだろうと思いました。
わたしもなかなか本をたくさん読めないたちなんですが、とてもいいことおw教えて頂きました。
一冊ずつですね!覚えておこうっと・・・。
by トミュウ (2007-09-06 00:30)