「ノーカントリー」 を見てきました。

2007年　アメリカ
監督　イーサン＆ジョエル・コーエン

第80回アカデミー賞で作品賞はじめ四冠を達成したコーエン兄弟の最新作です。
コーエン兄弟の作品は前から好きですし、気になっていたので早速見に行きました。

舞台はアメリカ西部のテキサス、ある猟師の男がなんだか不思議な現場に出くわします。
車が何台か、そして数人の死体・・・。ただ１人、瀕死の男をその場に残し、男はアタッシュケースの中の大金を持ち帰ります。
それがきっかけで過酷な日々が彼を待つことになります・・・。

持ち帰ったお金が麻薬がらみのやばいお金だということを知り、ハンター・・・ルウェリン・モスは逃亡の旅に出ることになります。
そんな彼を追いかけるのが、『変な髪型」で一躍有名（？）になったハビエル・バルデム演じるアントン・シガー。
酸素ボンベのようなものを引きずりながら、銃で撃たれたようなのに弾丸も何も残らない・・・という不思議な殺し方をする殺し屋です。
コインの裏表で殺すかどうしようかを決めたり、ちょっと「むっ」とするとためらいもなく酸素ボンベから出るチューブを相手に向け、殺害・・・！かなり危ない感じの人です。

そんなシガーとモスのスリリングなやり取りはすごい緊張感で、とても良かったです。
持ち去ったお金の１つに発信器が仕込まれていて、モーテルの部屋でシガーが受信機を持ち、モスの部屋の前で一旦立ち止まる・・・。
この秀逸なシーンの他にも、この後どうなるんだろう？モス君逃げおおせるの？という場面がいくつもありました。

そしてこの作品、コーエン兄弟の作品史上最大と言われるのも納得なくらい、バイオレンスたっぷりです。
何の罪もない人が気分次第で殺されちゃったりするし、その描き方もなかなかグロ痛いです。
そういったことを涼しい顔でやってのけるシガー・・・髪型もさることながら、そういうことに何のためらいもないキャラクターが更にコワさを増しているんですよね。
モスもそうですし、他にも登場する保安官とかも渋みがあっていい役者さん達ぞろいでしたし、ストーリーも単純ではなく、夢中になって見ているうちに終わっちゃった！って感じでした。

コーエン兄弟の作品にしては珍しく原作本があるということですが、世界観も話もまさにピッタリだと思いました。
原作にもこんなにコワい殺し屋が出てくるのか、こんなにバイオレンスなのかがちょっと気になってきちゃって、機会があればコーマック・マッカーシーの原作も読んでみようかと思いました。

血と暴力の国 (扶桑社ミステリー マ 27-1)

• 作者: コーマック・マッカーシー
• 出版社/メーカー: 扶桑社
• 発売日: 2007/08/28
• メディア: 文庫