カシタンカ・ねむい [本]
チェーホフ 著
神西清 訳
岩波文庫
チェーホフは日本でもかなり人気があって、たくさんの作品が邦訳されていますよね。
これは数ある短編集の中の1つで、表題作のほか長短合わせ9つの作品が収められています。
表題作「カシタンカ」は、飼い主とはぐれた犬がサーカスの一団に拾われて・・・というお話です。
犬が主人公!というのにも和みますが、他にも猫や豚、がちょうなども登場し、さながらブレーメンの音楽隊のようです。
もう1つの表題作「ねむい」は、子守として雇われている少女のお話です。
眠気に耐えないといけないのは、わたしも日ごろよく経験してますので大変さがよーく分かります・・・。
ほかの作品も 子供が主人公だったりと結構和む感じが多いんですが、作品すべてにドライさというか、ちょっと醒めた空気が漂っているんですよね。
ただ可愛らしいだけではなく、むしろ寒々とした感じがするのがとても印象的でした。
その謎は、作品の後半に掲載されている翻訳の神西清氏の解説によってかなり解けていきます。
最初は長さと難しさに思わずくじけそうになりますが、チェーホフの人となりについて本当に詳細に描写されている部分を読むと、作品の空気はチェーホフ自身の感情そのものなのだという気がします。
斜に構えたというか、それこそ醒めた部分を持った人だったらしいですね。
それでいて、ユーモア(時にブラックな・・・)で皆を楽しませようという思いも人一倍持っていたと、まさにそういう気持ちの結晶がああいう作品になるんだなと納得しきりでした。
神西氏の文章も詳しく面白いですし、更に家族・弟子による神西氏の仕事ぶりについての文章もとても興味深いです。
当時のロシア文学翻訳の「分かりにくくても元の文らしいのが良い」とされていた風潮に真っ向から反対し、「日本語として」良い文章にするべく丁寧に仕事をしていた様子が詳しく描かれています。
登場人物が動いている様子が目に浮かび、どんどん読み進められて印象に残る・・・これは元の文章もさることながら、翻訳によるところも多大にあると思います。
翻訳と翻訳文学の奥深さと面白さを再認識できて、初めは長いと思っていた解説も これなしでは全く読み方が変わるほど重要で、非常に読みごたえのある本でした。
神西清 訳
岩波文庫
チェーホフは日本でもかなり人気があって、たくさんの作品が邦訳されていますよね。
これは数ある短編集の中の1つで、表題作のほか長短合わせ9つの作品が収められています。
表題作「カシタンカ」は、飼い主とはぐれた犬がサーカスの一団に拾われて・・・というお話です。
犬が主人公!というのにも和みますが、他にも猫や豚、がちょうなども登場し、さながらブレーメンの音楽隊のようです。
もう1つの表題作「ねむい」は、子守として雇われている少女のお話です。
眠気に耐えないといけないのは、わたしも日ごろよく経験してますので大変さがよーく分かります・・・。
ほかの作品も 子供が主人公だったりと結構和む感じが多いんですが、作品すべてにドライさというか、ちょっと醒めた空気が漂っているんですよね。
ただ可愛らしいだけではなく、むしろ寒々とした感じがするのがとても印象的でした。
その謎は、作品の後半に掲載されている翻訳の神西清氏の解説によってかなり解けていきます。
最初は長さと難しさに思わずくじけそうになりますが、チェーホフの人となりについて本当に詳細に描写されている部分を読むと、作品の空気はチェーホフ自身の感情そのものなのだという気がします。
斜に構えたというか、それこそ醒めた部分を持った人だったらしいですね。
それでいて、ユーモア(時にブラックな・・・)で皆を楽しませようという思いも人一倍持っていたと、まさにそういう気持ちの結晶がああいう作品になるんだなと納得しきりでした。
神西氏の文章も詳しく面白いですし、更に家族・弟子による神西氏の仕事ぶりについての文章もとても興味深いです。
当時のロシア文学翻訳の「分かりにくくても元の文らしいのが良い」とされていた風潮に真っ向から反対し、「日本語として」良い文章にするべく丁寧に仕事をしていた様子が詳しく描かれています。
登場人物が動いている様子が目に浮かび、どんどん読み進められて印象に残る・・・これは元の文章もさることながら、翻訳によるところも多大にあると思います。
翻訳と翻訳文学の奥深さと面白さを再認識できて、初めは長いと思っていた解説も これなしでは全く読み方が変わるほど重要で、非常に読みごたえのある本でした。
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