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「我が至上の愛 アストレとセラドン」 を見てきました。 [映画:ワ行]

2007年 フランス
監督 エリック・ロメール

ヌーヴェル・ヴァーグの時代から、90歳になろうとしている今まで精力的に作品を作って来ていたエリック・ロメール監督の最新作です。
この作品の撮影時には87歳だったらしいロメール監督、もう長編映画は引退する・・・という話をしているそうですね。
そうすると最後の作品になるかも知れないということで、楽しみではありつつも本当に最後だったら少し寂しくもありますね。

舞台は5世紀のフランス、自然が美しい街です。
恋人同士のアストレとセラドンですが、ちょっとした誤解が原因でセラドンは浮気を疑われ、「2度とわたしの前に現れないで」と言われてしまいます。
失意のどん底に陥ったセラドンは川に身投げをします・・・。

アストレは、そこまで自分を思ってくれていた人がいなくなってしまったことを嘆き、それからは泣いて暮らすようになります。
ですが・・・実はセラドンは川下の城に済むニンフ=精霊に拾われ、命を救われていたのでした。

そのニンフの女主人は、セラドンの美しさにすっかり魅せられてしまい、彼を手元にずっと置いておきたいと思うようになります。
回復したセラドンは城から出れないことが苦しく、ある日ついにニンフの1人の協力で城からの脱出に成功します。
それなのに、彼はアストレからの「2度と現れるな」の言葉を頑に守り、自分から合いに行くことは出来ないと森の中でひっそりと暮らすことにするんです。
セラドンは無事にアストレに会うことができるのか?

・・・なんて感じの話なんですが、純愛というよりは、2人が生真面目すぎるってことなんだろうなーと思いました。
そこまで言いつけ守らなくても・・・なんてツッコミ入れまくりですけどね。
そこで2人を再び会わせるために、街の牧師と 以前城からの脱出に協力したニンフが考えた作戦が・・・なんかコバルト文庫のようなベタな感じで非常によろしいです。
時々笑える所があるのがまたいいんですよね〜。
映画にはやっぱりユーモアも必要だと思うんで、クスクス笑えるシーンを巧みに織り込むロメール監督、やはりスゴいと思います。

完全なラブシーンがある訳ではないのに、色気を感じさせるシーンもお見事!と言った感じです。
露骨な描写よりこういう感じの方が全然色っぽいと思うし、90歳近くなっても、ヘンな意味ではないやらしさをしっかり表現できるのはすごいことだと思います。
それでいて、最後はすぱっと終わるという潔さ。このバランスが本当に好きですねー。

原作は17世紀に大流行した恋愛小説だそうで。
今どきセラドンみたいな男の子もアストンみたいな女の子もいるかどうかは分かりませんが、本当はとっても会いたいのにある事情で会えない・・・という苦しさなどはきっとどこでもいつの時代でも同じなんじゃないかと思います。
そういう普遍的な所が、この物語がいつまでも皆に読まれる理由なんでしょうね。

ロメール監督の本当に最後の作品になるのだとしたら、やっぱり人間には愛が大事だよね、というメッセージなのかなと思います。
もう新作が出ないかもしれないのは残念ですが、まだ見ていない過去の作品を探し出して楽しみたいと思います。


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