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わたしの渡世日記 [本]

高峰秀子 著
朝日新聞社

『二十四の瞳』や『浮き雲』など、日本を代表する映画監督の作品に数多く出演し、今でも名前を知らない人はいないであろう高峰秀子さんのエッセイです。
発売されたのは1976年。当時は大ヒットしたということですね。

生い立ちや5歳で子役としてデビューしたときのことから、いくつかの映画会社を経てフリーになり、そして結婚をするまでの数十年間の話が、時に軽妙で痛快な語り口で書かれています。
高峰さんは家族構成も複雑だったようで、ずっと一緒にいた母親は生みの親ではなく、だからということではないかも知れないですが、ずっと奇妙に相容れない間柄だったようですね。
母親のことについては、時折苦々しいほどの痛烈な表現で出てきます。

子役としてデビューした松竹蒲田から東宝に移籍し、当時闘争によって出来た新東宝に行き、更にはフリーランスと活動の場を変えて行きます。
当時は、俳優は映画会社の「社員」であったということは何となく知ってはいたけど、どういうことなのかイマイチ分からなかったんですが・・・この本を読んで少し詳しく知ることができました。

高峰さんは出演していた映画についても多く書いていますが、多いときで年に6本もの映画に出演していたということと、更にはその映画についてかなり詳しく覚えているというのが本当にすごいです。
さすがに大女優というのは記憶力がすばらしいですね。
映画については写真や脚本、記録などが残っているのである程度は分かるかもしれませんが・・・その時の監督と交わした会話なども克明に覚えているのがさすが、といった感じです。

戦争中の話もいろいろと出てきます。終戦の瞬間のエピソードなども印象的です。
当時は、映画人達も戦争という大きな流れには飲み込まれるしかなかったんだな・・・と苦しくなります。

母親との確執も印象的なのですが、最後の方でさらりと描かれる夫、松山善三さんとのエピソードがやはり感動的ですね。
小さい頃から大人の世界の中で仕事をし、家族のために学校にも行けず休みなく仕事をし、いろいろあったけれど・・・その後は夫と共に穏やかで愛情に満ちた暮らしをしているという、ほっとする内容で少し泣けました。

映画以上にドラマと愛憎に満ちた実生活であっても、それをもちろん画面には見せないプロ意識も素晴らしいと思いますし、人との出会いと人に対する感謝の気持ちを持つというのは・・・なんだかどんな世界でも同じですね。
わたしも仕事をするにあたり、こんな感じを常に意識してみたいと思えました。
高峰さんのことを更に好きになりました!またいろいろ探して見てみたいです。

↓今は文春文庫が一番手に入りやすそうですね。
わたしの渡世日記〈上〉 (文春文庫)

わたしの渡世日記〈上〉 (文春文庫)

  • 作者: 高峰 秀子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1998/03
  • メディア: 文庫
わたしの渡世日記〈下〉 (文春文庫)

わたしの渡世日記〈下〉 (文春文庫)

  • 作者: 高峰 秀子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1998/03
  • メディア: 文庫




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