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王妃の館(上・下) [本]

浅田次郎 著
集英社文庫

これまた父のススメで読んだ本です。
フランス好きなわたしは、フランス・パリの豪華ホテルが舞台の小説というのを聞いて、つい手が伸びてしまいました。

パリのヴォージュ広場の片隅に、「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ」という由緒ある超高級ホテルがたたずんでいます。
ルイ十四世が寵姫のために建てた家であったこの館は、プラザ・アテネやクリヨン、リッツなどの著名豪華ホテルよりも更に更に敷板が高いとして有名です。
そんなホテルへ宿泊できるツアーが、日本の小さな旅行会社によって企画されました。
そのプランは、1方が150万円からと高額。もう1つは19万8000円と、かなりお得。
これらのプランにそれぞれ参加することになった、各4組の客達ですが・・・なんとそれは、同じ部屋を昼と夜で同じ日に2組を入れてしまうという、とんでもない企画でした。

150万円の方は「光(ポジ)」ツアーと名付けられ、上司との不倫が終わり会社もリストラされたOL、桜井香や超有名作家、北白川右京とその担当など。
お得な方は「影(ネガ)」ツアーで、最近退職した警察官やオカマ、更には北白川右京がパリに行くことを知った他社の担当編集者まで入っていました。
偶然とは言えないこの組み合わせの妙もさることながら、果たして意図的にダブルブックされた2組のツアーがうまく行くのか・・・?とハラハラしながら読める作品です。

これらのドタバタ、時にギャグ満載の展開と同時に、「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ」にまつわる話が絡んで来て、単なるドタバタ劇以上の奥深さが見えてきます。
半分冗談のような勢いで行くと思ったら、クライマックスでグイっと泣かせる展開などは、さすがといった感じですね。

登場人物が総勢20人程度と結構多いんですけど、多少主人公的なキャラはいるものの、全員の人生やキャラクター、そしてパリでの過ごし方なんかをちゃんと描いているので、皆それぞれが「その他大勢」じゃなく際立っています。
もちろん、読んでいても誰が誰だか分からなくなるようなことはありません。
エンターテイメント小説はキャラクターに尽きる、といつも思うのですが、これだけの人数がちゃんと動いて生きているのがすごいです。

ルーブルやセーヌ川クルーズなど有名どころに行ったりするのも、ちょっとした観光ガイドのようになっていて良いですね。
特にヴォージュ広場には、次にフランスに行く機会があったら絶対行ってみたいと思います。
「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ」のモチーフとなったホテルもあるようで・・・。
パピヨン・ドゥ・ラ・レーヌ、泊まるとまでは行かなくてもその様子はぜひぜひ見てみたいですね。

王妃の館〈上〉 (集英社文庫)

王妃の館〈上〉 (集英社文庫)

  • 作者: 浅田 次郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2004/06
  • メディア: 文庫
王妃の館〈下〉 (集英社文庫)

王妃の館〈下〉 (集英社文庫)

  • 作者: 浅田 次郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2004/06
  • メディア: 文庫

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