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荒野へ [本]

ジョン・クラカワー 著
集英社文庫

ショーン・ペンが監督した2007年の映画「イントゥ・ザ・ワイルド」の原作本です。
アラスカに1人で入り、バスの中で餓死した状態で発見された青年、クリス・マッカンドレスについて、著者が詳細に調査した内容が書かれています。

クリス・マッカンドレスは裕福な家庭に育ち、成績もスポーツも優秀な青年でしたが、ちょっと神経質というか、怒りっぽい一面なども持ち合わせていたみたいですね。
それでいて、何となく人を引きつける魅力を持っていて、更には商才にも長けていたそうで。
そんな彼がなぜ、何もかも投げ捨てて荒野へ入ることを決意したのか・・・。
もちろん当人が亡くなっているため推測の部分もあると思いますが、いろいろな人の証言を元に丁寧に分析しています。

アラスカの人々は、1人で地図も満足な食料も持たずにアラスカで過ごすなんて、知識不足の若さゆえの過ち・・・という見方をしているようです。
でも、実際は彼はここで100日以上生活し、ほんの少しの違いで命を落としてしまったということを、クラカワーは自身の経験も踏まえて論理的に解明しています。
クラカワー自身も冬山に1人で行ったことがあるそうなんですが、その様子が詳細に書かれているのも面白いです。
結構長いので、途中「で、どこまで話進んだんだっけ?」という気分になりましたが・・・。

クラカワー自身も本当に死と隣り合わせの状態に陥ったという話を読むと、本当にこういう場所では生きるか死ぬかは紙一重なんだなーという気がします。
だから、クリスが死んだのも無知や無謀だけが原因ではなく、ほんのちょっとした「何か」が原因だった・・・という意見は興味深かったです。

映画の記憶と照らし合わせてみてとても印象的だったのは、この本はノンフィクションらしく非常に淡々と書かれているんですね。
それが映画になると、非常に叙情的で感動的な映像になっているので感じが全然違うのに驚き、そしてとても面白いと思いました。
ショーン・ペン監督がこのノンフィクションのどこに最も感銘を受けたのか、ということが分かる気がして、映画に対しても新たな見方が出来る気がしました。


荒野へ (集英社文庫)

荒野へ (集英社文庫)

  • 作者: ジョン クラカワー
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫



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コメント 2

hash

映画を観たときに、原作も読みたいと思いましたが、そのまま忘れていました。^^;
>結構長い
躊躇して、また忘れそうです。^^
by hash (2010-03-07 22:14) 

トミュウ

> hashさま
nice!とコメントありがとうございます!
わたしも映画を見た時に読みたいと思ったきり放置していて、
やっと読んだ次第です・・・。
結構映画と印象が違うので、興味深いと思いますよ。
by トミュウ (2010-03-07 23:18) 

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