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「ノン、あるいは支配の空しい栄光」 を見てきました。 [映画:ナ行]

1990年 ポルトガル=フランス=スペイン
監督 マノエル・ド・オリヴェイラ

1908年生まれの現役最高齢の映画監督、オリヴェイラ監督の1990年の作品を期間限定で上映していたので見てきました。
なかなかカッコ良い邦題ですよね、この作品はポルトガルの戦いと「敗北」の歴史を紐解く作品です。

1974年、アフリカの植民地戦争に参加しているポルトガル軍の兵士達。
彼らはパトロール中で、車の中で戦争についていろいろと議論を始めます。
それを聞いていた彼らの情感カブリタ少尉は、古くからポルトガルにも戦いの歴史があったということを語り始めます。

紀元前2世紀のローマ軍の侵攻、15世紀のスペインとの領土争い・・・そして新大陸の発見に向けての航海などの話が、カブリタ少尉の話で鮮やかに再現されて行きます。
少尉の話を再現するかのように、映像は当時のストーリーに沿って展開して行きます・・・。
この映像が、時にはちょっとファンタジーのようになったりして、ちょっと変な感じがとても良いです。
きっとこの映像による再現はカブリタ少尉の話そのもので、少尉の話はイマジネーションに溢れていて楽しいということの表現なのかなと思うと面白くなってきます。

そんな中いきなり銃撃戦が始まり、ここの描写は音楽もほとんどないし、いろいろとそぎ落とした感じのものすごい緊張感です。
ここからのリアリティというか、非情な感じの展開は見ていてなんだか苦しくなってきます。

昔も今も戦いは繰り返されていて、それで何か成果を得ることが出来たかというと、実は何もない・・・では戦いには何の意味があるのだろうか?
少尉の静かな語り口からはそういう気持ちがにじみ出ていて、どうして繰り返されてしまうのかと考えずにはいられない感じになってしまいます。
オリヴェイラ監督自身のメッセージもその辺にあるんだろうと思います。とっても見応えのある作品でした。

ちなみにオリヴェイラ監督、100歳を超えた今でもまだまだ映画作りをされているようで嬉しくなりますね。
最近始まったカンヌ映画祭にも登場したようだし、出品作品『ザ・ストレンジ・ケイス・オブ・アンジェリカ』も公開されたら是非見たいと思います。


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コメント 2

coco030705

こんにちは。
オリヴェイラ監督作品は、「永遠(とわ)の語らい」をみただけですが、船旅で立ち寄る美しい各国の風景が印象的で、俳優さんもカトリーヌ・ドヌーヴはじめ、とっても豪華な顔ぶれでした。最後はえっ!と思うような、意表をつくエンディングでした。

この映画、ほんとに題名がいいですね。内容も見ごたえがありそうです。

オリヴェイラ監督は御年102才だそうで、これまでも1年に一本のペースで作品をつくっておられたとか。すばらしいですね。たくさん名作があるようなので、また追々観ていきたいものです。
by coco030705 (2010-05-16 15:46) 

トミュウ

> ココさん
こんにちは!nice!とコメントありがとうございます!
「永遠(とわ)の語らい」わたしも昔見ました!
風景もキャストも、本当に素晴らしかったですね。

オリヴェイラ監督作品はまだまだ見ていないものも多いので、
過去の作品もぜひ見たいと思っています。
by トミュウ (2010-05-16 17:14) 

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