東京大学のアルバート・アイラー(青) [本]
東大ジャズ講義録・歴史編
菊地成孔・大谷能生 著
メディア総合研究所
『官能と憂鬱を教えた学校』に続いて、菊地・大谷氏の講義シリーズと位置づけられるこの本。
なんと東大教養学部で講義されていたんですね!
わたしも「モグリ」で行ってみたかった・・・。
さて毎回「東大生の方〜?モグリの方〜?」(モグリの方の方が相当多いらしい)から始まるこの講義録。
1950年代頃誕生し、バークリー・メソッドやMIDIの登場を経由して2000年代に至るまでの発展やもろもろの歴史についての講義を全10回に渡ってされています。
ジャズは時々聴くぐらいで、あまり詳しい用語などは知らなかったのですが、話したことの採録でするすると読みやすいこともあり、そういった部分についてかなり知ることが出来ました。
「ビバップ」の発生や衰退、「モダン」と「プレ・モダン」などなど・・・。
『官能と憂鬱』はもっと実学的というか、バークリー・メソッドの何たるかについてもっと詳しかったのと比べると、歴史にフォーカスを当てていることもあり、読みやすく分かりやすい感じがしますね。
音源も冗談もタップリで、参加した人たちは楽しかったであろうと思います。
固有名詞も沢山出て来て、誰もが知る有名どころからそうでもない人(わたしが知らないだけかもしれませんが)まで様々。曲名と収録アルバムまで注として収録されているので、CDを選ぶうえでの指標としても十分参考になる内容です。
あとがきによると、これまでのジャズ史ってもっと局地的な部分が多くて、ジャズの中でもいろいろ分かれているジャンルの間には隔たりがあったりするそうなんです。
特にジャズファンからすると、きっと「自分にとってはこれがジャズだ、他は違う」みたいな部分があるのかも知れないと思ったりしています。
ジャズに初めて入ろうとするときの敷居の高さは、きっとそういうのも原因の一つかなあなんて思うのですが、そういった部分を包括的にまとめたモノは今までなかったということです。
きっと某大な量の音源・文献などを調べたりしたに違いないですし、東大・またこの講義録にて公開してもらえたことを、とても嬉しく思います。
東大の講堂にてキャプテン・ビーフハートやアルバート・アイラーが大音量で本当にかかった場面、体験したかったですね〜。
後期はゼミ形式で実施され、もっと踏み込んだ講義になっているとのこと。
こちらももう本になっていて入手済みですが、とっても楽しみです。
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