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だましゑ歌磨 [本]

高橋克彦 著  文春文庫

寛政2年、大雨により江戸の深川が洪水の被害にあう。南町奉行所の同心、仙波一之進はその対応に当たっているうち、浮世絵師喜多川歌磨の妻が殺された事件に関わる。
そのころ江戸の町では押し込みによる強盗事件が多発し、対策に追われるうちにそれらの事件の真相が次第に見えてくる。

司馬遼太郎好きの父に「面白いから読んでみろ」とすすめられたのがこれでした。
結構厚い本なんですが、テンポの良い会話が多くて読みやすく、またどんどん引き込まれていきます。

出てくるのは歌磨始め、「鬼平」長谷川平蔵、浮世絵の版元蔦屋重三郎、また無名時代の葛飾北斎など、実在の人物の方が多いくらいで、彼らとの関わりがとってもおもしろいんですねえ。
この頃は派手な錦絵や反体制的な本の出版が禁じられ、その禁制にひっかかって蔦屋と山東京伝が罰せられる事件なども登場してきます。
歌磨の妻を殺したのは誰か、また押し込みの正体は?という事件の真相を追う話ではあるんですが、当時の「改革」の中の規制の実態などが鮮やかに見えてきます。
歌磨や蔦屋は、その合間をなんとかすり抜けようといろいろな手を考えるのですが、浮世絵の新しい技術などが生まれる瞬間に立ち会ったような、妙な感動があります。

登場人物が多いのに、それぞれがとっても個性的でいきいきとしています。読んでいるとついつい江戸言葉(?)がうつってしまいそうなのでした。
仙「手を付けりゃ後戻りができねえ」
蔦「(中略)よござんす。牢屋送りを覚悟でご相談に乗りましょう」
・・・この辺りのくだりがお気に入りです。

ところで主人公仙波は同心から火付盗賊改に移ることになるんですが、その辺の組織の関連がどうも???って感じだったので、少し役に立ちそうなページを探してみました。
時代劇ファンには「そんなことも知らぬのか、うつけ者!」などとお叱りを受けそうですね。
http://homepage3.nifty.com/ithilien/ooedosousamou.htm


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