日々の泡 [本]
宮崎誉子 著 河出書房
販売の仕事をしている人たちを主人公にした5つの短編が入っています。
登場するのは靴屋さん、本屋さん、コーヒーショップなど・・・。
主人公は時給いくらで働いている販売員たちです。
よく分からない上司に、理不尽なことで怒られまくり、ちょっと迷惑なお客さん達と相対しながら、懸命にお仕事しています。
いや〜自分も本屋さんでバイトしたことありますし、なんかすごいシンクロしちゃいましたね。
幸運にもわたしは一緒に働いた人たちに恵まれ、理不尽に怒られたりしたことなかったですが・・・。そういう職場、多そうですよね。
主人公は歩き方、お客さんとの接し方、ほかもろもろに関して上の人に口うるさく言われます。
昨日言われた通りにしたら、今日になったら「違う」と言われたり。上司がやった通りにしたら「自分で決めるな」と怒られたり。
そんな逆境にも負けず、休憩時間や家に帰ったひとときに少しの楽しみでエネルギーをチャージ!して頑張る姿、応援してしまいます。
極端な例かも知れないとはいえ、こういう風に毎日お仕事している人ってとっても多いだろうなあと思います。
川端康成賞の候補になったという「POPザウルス(A面)」は秀逸です。
悪態をつき合いながらも思いやりを持っている主人公兄妹。
最後に訪れるそれこそ理不尽な位の事故。
地の文も若者口調で、なんというか、軽い感じで書いてあるにもかかわらず・・・いや、だからなのかもしれませんね。すごく痛々しいです。
小さな幸せさえも奪われてししまうこともあるということ。
そういうことにもめげず、生きて行くのって大変だよなあと思います。
仕事って大変だなあ・・・とため息つきたくなる感じですが、読み終わった後、自分も頑張ってやらなきゃ。というパワーをもらえたような気がします。
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