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不如帰 [本]

徳富蘆花 著
岩波文庫

以前伊香保へ行った時「徳富蘆花記念館」を訪れまして、そこに展示されている「不如帰」の絵画やら舞台の台本(?)やらを見て、この作品に興味が出てきました。
当時は圧倒的な支持を受けたという、徳富蘆花の代表作中の代表作ですね。

話は主人公夫婦の伊香保への新婚旅行から始まります。
陸軍中将の娘浪子と 海軍兵士の武男は、伊香保での一時を仲良く過ごします。
それはもう、他人がうらやむぐらいの仲良しっぷりです。

やがて武男は作戦のため家を離れ、浪子は厳しく烈しい姑の下で、かいがいしく嫁としての勤めに励む訳です。
彼女の母親は既に他界していて、中将の後妻もまた西洋風のきつい感じの人で、実家にいても苦労していた浪さんは、武男の帰りを楽しみに待ちながら毎日を過ごしています。
そこに浪さんを以前狙っていた武男の従兄弟千々石、また武男を慕う女性なども現れたり、昼ドラのような展開になっていく訳ですね。

そして後半、浪さんはついに結核を患います。
更に千々石の差し金等もあり、病気をきっかけに離縁されてしまうんです。
これも来たかー!というぐらいの不幸の連続です。

当時の女性達に大人気だったのも良く分かります。
今読んでも、浪さんと武男、どうなっちゃうのかしら・・・と思いながらずんずん読み進めてしまいます。
クライマックスの感動的描写も、きっと大反響だったのではないかと思います。

最近のドロドロした本当の(?)昼ドラと比べると、多少最後の方はいい感じにまとまってしまったな、という思いはあります。
ただ 家の都合で引き離されてしまった2人のお互いを思う気持ちとか、はたまたプライドをズタズタにされた時の復讐を誓う気持ちとか、今の時代でも変わらない部分も多々あるように思います。
そういうところが今でも変わらず親しまれている理由ですかね。

文語体の文章を久しく読んでいなかったので、最初はちょっと分かりにくいところもあったのですが、やっぱり流麗な雰囲気が良いと思います。
読み終わった後、最後の但し書き部分でやっと気づいたのですが、今の文庫版は新仮名遣いで書かれているんですね。
言われてみれば・・・文語体といえば「ゐ」とか「ゑ」とか書くよな〜なんて後から気づくところが、普段触れる機会がほぼなくなっている証拠ですね。
旧仮名遣いの文章は読みにくいと言うのも分かる一方、なんとなく寂しい気分がしたのでした。


不如帰―小説 (岩波文庫 緑 15-1)

不如帰―小説 (岩波文庫 緑 15-1)

  • 作者: 徳冨 蘆花
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1938/07
  • メディア: 文庫



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