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ヴィターリー・カネフスキー3部作 を見てきました。 [映画:英数字など]

ちょっと前になりますが、特集上映でロシアの幻の映画作家と言われていたヴィターリー・カネフスキーの3本を見ることができました。
3本まとめて感想を・・・。

「動くな、死ね、蘇れ!」
1989年 ソビエト

第2次世界大戦後のロシアの炭坑町で暮らす少年ワレルカは、学校一の悪戯好きです。
彼の悪戯はだんだんエスカレートして来て、ついにシャレにならない事態になってきます。
そんな彼のことを放っておけず、怒りつつもいろいろと救っているのは同じ12歳の少女ガリーヤ。
ワレルカが町から逃げ出して本当の悪い人達の仲間になってしまっても、彼女は守護天使のように現れてワレルカを救おうとします。

この映画、『大人は判ってくれない』などを超える最高傑作と言われるのも納得の素晴らしさです。
主役2人の、ケンカしたり時々じゃれ合ったり、そしてお互いをなんとなく想っている・・・という甘酸っぱい感じと、ワレルカが足を踏み入れて行く危険な領域との対比が本当に絶妙で、どのシーンもとっても印象に残ります。
ロシアの殺伐とした空気もとても印象的で、この厳しい環境を強く生きなくては、という少年と少女の強さに感動します。

いろいろな方が絶賛していたのもあって気になっていたこの映画、本当に見れて良かったと想います。


「ひとりで生きる」
1991年 フランス

世界中に衝撃を与えた『動くな、死ね、蘇れ!』から2年後の彼らを描いた続編です。
ワレルカは15歳になって、ちょうど子供と大人との境目という世代で、学校での妙な人間関係や、日本人の抑留者ヤマモトとのちょっとした友情、そしてガリーヤの妹ワーリャとの関係などがちょっとずつ子供時代とは変わって行きます。
学校を退学になってしまったワレルカは叔母さんの家を目指して故郷を出ますが、ワーリャはずっと彼に手紙を送り続けます。

この映画は、他の2作と比べると印象が薄いというのが正直な所なんですが、15歳くらいの文字通り多感な時期の少年少女の姿が印象的です。
時々入ってくる、日本人抑留者たちの哀愁漂う歌(月の砂漠など・・・)も奇妙な寒々しさを感じさせます。
ちょっとだけ笑えるシーンもあったりして、そんなに重々しい感じはないですけどね。

主役の2人は前作と同じで、本当に15歳ぐらいに成長した姿を見せてくれます。
大人っぽくなるもんだな〜と感心すると同時に、自分達のこの頃のことを少し思い出したりした作品でした。


「ぼくら20世紀の子供たち」
1993年 フランス=ロシア

この作品は「崩壊後」のロシアで暮らす子供達を描いたドキュメンタリー作品です。
カネフスキー監督が自ら、ストリートチルドレン・・・本当に小学生低学年くらいの子供達にインタビューをしながら映画は進んで行きます。
親がほとんど育児放棄のような環境で、瓶を拾ったり、車を磨いたりしてお金を稼いでいたり、そういう方法について質問したり好きな歌を歌ってもらったりします。

そしてカメラは犯罪を犯した少年少女たちを収容する施設に移り、そこでもカネフスキー監督は、16歳〜20歳位の子たちに「どんなことをしたのか」と質問して行きます。
彼らは強盗だったり殺人!だったりいろいろなんですが、シッカリしていて結構雰囲気も柔らかい感じなのが印象的でした。
ここに収容された少年の中に、監督の前の2作品に出演したワレルカ役のパーヴェル・ナザーロフも入っていました・・・。

本当に小さい子供たちが、タバコを吸ったり廃墟に集まったりしている様子に、当時のロシアの厳しさを感じました。
崩壊後のロシアの様子はニュースで見ていましたが、こういうことをしないと生きて行けないほどというのを目の当たりにして、ちょっと「外の世界」の出来事のような感じだったことが、今更になって急に身に迫って感じられました。


この3本、1つ1つもとても良い映画ですが、3本まとめて見れたのが本当に良かったです。
何度でも見たいと思える作品だったので、DVD化はなるのか?ならないのか?という噂レベルっぽいですが、もしリリースされたら買って、また見たいですね。

20091108.jpg
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石橋

来春、3枚組ボックスで発売されるようです。
発売日・価格未定ですが、ユーロスペースのレジ内のポスターに記載されていました。劇場スタッフにも口頭で確認しました。何故か他の場所に貼られていたポスターには無記載・・・それじゃ誰にも伝わらん。

発売元はもちろん紀伊国屋です。

by 石橋 (2009-12-07 16:31) 

トミュウ

> 石橋さま
こんにちは!コメントありがとうございます!
そうですか、来春発売ですか!
まだ未定だからですかね、あまり情報もなかったので
お知らせ頂いて本当、ありがたいです。

紀伊国屋、さすが期待通りの仕事してくれます!
by トミュウ (2009-12-12 14:55) 

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