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「マイレージ、マイライフ」 を見てきました。 [映画:マ行]

2009年 アメリカ
監督 ジェイソン・ライトマン

『JUNO/ジュノ』で第80回アカデミー賞の脚本賞を受賞し、作品賞ほか4部門にノミネートされたジェイソン・ライトマン監督の最新作です。
ジョージ・クルーニーを主演に迎えたこの作品、あまり期待はしていなかったんですが、「リストラ宣告人」という職業自体が興味深いですよね。

ジョージ演じる主人公ライアン・ビンガムはリストラ専門会社の社員で、毎日飛行機で全米を飛び回り、あらゆる会社で従業員にリストラを言い渡す仕事をしています。
年間300日以上も出張で、ほとんど家に帰らない彼の密かな目標はマイレージを1000万貯めることで、もうすぐその目標も達成できそうな勢いです。
そんな彼の会社に、出張が中止になりそうな事態が発生します。

きっかけは新人社員のナタリー。
彼女は、ネット経由でパソコン越しに解雇通告を行えば出張を中止して、経費を80%以上削減できると主張し、ライアンのボスも乗り気な様子。
「そんなコトが可能な訳があるか」と反発するライアンに対し、ボスは研修の一環として、ナタリーをライアンの次の出張に連れて行くように指示します。

リストラ宣告人という職業本当にあるのね〜とまずは思いましたが、特に解雇が別に特別なことではないらしいアメリカでは、そういうことを専門に受け持つ会社などはニーズあるかもな〜と思いました。
会議室に1人1人呼び出し、「あなたの仕事はもうなくなりました」と告げ、言われた人達は「なぜ自分が解雇なのか」「これだけ会社にも貢献したのに」などと様々な反応を見せます。
もちろん解雇が帳消しになるはずもなく、「明日にでも荷物持って帰ってね」と言われてしまうショックは計り知れないですね。

そんな風に絶望のふちに叩き込まれた人達に少しでも安心感を与えるのが自分の仕事だ・・・と考えているライアンは、だからこそ直接対話をすることが必要だと考えています。
そんなライアンが、仕事一直線で姉や妹とゆっくり話したりする時間がほとんどなかったようで、「家族」の立ち位置から外されようとしているというのも、なんだか考えさせられるものがあります。

妹の結婚式で思ったこと、割り切った関係としていい感じにやって来ていた女性のことを、ナタリーに「なぜ本気で向き合おうとしないのか」と問いただされたことなど、いろいろなことが少しずつ絡まって行って、ライアンの気持ちに少し変化が生じてくるのが非常に良いですね。
ハッピーエンドにする訳ではなく、でも何かこれまでの自分とは違っている・・・というちょっと微妙な感じを、ジョージ・クルーニーは表情でとても良く表現していたと思います。

ジョージ・クルーニーのモテそうな雰囲気も、女性陣2人の対称的な姿や考え方もとても面白かったですね。
そして、冒頭とラストのリストラされた人達の話が大変興味深かったです。
彼らは本当にそういうことがあった人達だそうで、本当の彼らの経験を話してくれている訳ですから、そのリアルさが半端じゃありません。
それでも希望を持ってなんとか頑張って行こうという人達は素晴らしいと思いました。

自分の立場だったら前向きになることは可能だろうか・・・と不安になりますが、どういう状況でもなんとかやって行かないといけないんですよね、きっと。
そういうメッセージも織り交ぜられていて、期待しなかった割にはとっても面白く考えさせられる映画でした。


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コメント 6

ジジョ

わたしこの映画好きです〜☆
いろんな人生があって、おもしろかったです♪
本当にリストラされた人たちはすごかったですね、、w
by ジジョ (2010-04-30 05:46) 

hash

不景気という言葉にも聞き慣れてきた今の時代ならではの作品でした。
シビアな現実を突きつけられながらも、どこか温かさがあったのが良かったです。
by hash (2010-04-30 21:18) 

トミュウ

> ジジョさん
nice!とコメントありがとうございます!
登場人物が皆、それぞれの人生があって興味深かったですね。
by トミュウ (2010-05-01 19:28) 

トミュウ

> hashさん
nice!とコメントありがとうございます!
「リストラ」という言葉が十分浸透した今だからこその
作品という感じがしますね。
確かに、あまり深刻に描き過ぎず、温かい感じが良かったです。
by トミュウ (2010-05-01 19:37) 

coco030705

こんばんは。
なるほど、ライアン・ビンガムは微妙に変化してたんですね。
トミュウさんのレビューを読んだら、そういう見方があったんだなと
思いました。
こうして映画の違う見方を知るというのも、ブログのいいところですね!
それから、やはり映画はスクリーンで観たほうがいいですね。
by coco030705 (2010-11-28 21:40) 

トミュウ

> ココさん
nice!とコメントありがとうございます。
この映画は本当に、見る人それぞれによっていろいろ解釈が
違っていて、それを見るのがまた面白い・・・という新たな楽しみが
出て来ているような気がします。
本当に、皆さんの感想読むといろいろ楽しいですよね!
by トミュウ (2010-12-07 11:12) 

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