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「抵抗 死刑囚の手記より」 を見てきました。 [映画:タ行]

1956年 フランス
監督 ロベール・ブレッソン

フランス映画の巨匠の1人に数えられるロベール・ブレッソン監督、DVDで何作か見ていますが、この作品は1957年のカンヌ映画祭で監督賞を受賞した作品とのことです。
ナチス支配下のフランスで監獄に捕えられた軍人の手記が原作です。

1943年のフランス、ドイツ軍に捕えられたレジスタンス派のフォンテーヌ中尉は、移送中に脱走を試みるものの失敗し、脱獄不可能というモントリュックの監獄に収容されることになります。
死刑判決を受けた彼は、ここから脱出することを決意し、まずは食事用のスプーンを研いでナイフを作り、木製のドアの一部を外すことを試みます。
削りかすや音に最大限の注意を計り、少しずつ木のドアの一部を削るという気の遠くなるような作業を毎日毎日続けます・・・。

独房に投獄された囚人達がそこから出れるのは、朝の洗顔の時だけです。
そこでフォンテーヌ中尉は隣の独房の壮年男性や周りの人達と少しずつ情報をやり取りし、少しずつ協力者が出てきます。
また、1つだけ上の方に開いている窓から、外を監視なしで散歩している囚人数人とコンタクトを取ることに成功し、脱出のための道具などを少しずつ手に入れることに成功します。

といったようなフォンテーヌ中尉の諦めない地道な作業が、彼自身のモノローグで淡々と描かれて行きます。
監視員達に見つからないように・・・と慎重すぎるほど慎重な中尉の様子を見ている方もおのずと緊張して来て、なんだかドキドキしてきます。

隣人の壮年男性を初め、周りの囚人達は皆「脱獄なんて無理だ、無謀だ」という半ば諦めのような気持ちでいます。
なのにフォンテーヌ中尉だけは、ほんの少しの可能性を信じて絶対に諦めず、ものすごい情熱で脱獄計画の実現に向けて行動をしています。
そして同室に放り込まれた少年にも協力してもらい、ついに計画を実行に移すときが来る・・・!という緊張感がヒリヒリするくらい伝わってきます。

当時のフランスの歴史的な事情などには全然詳しくないんですが、原作を書いたのは本当の軍人だったようですので、きっと実際の当時の様子に近い映画だったのではないかと思います。
ブレッソン監督自身もドイツ軍の捕虜になった経験があるということですので、この映画のリアリティは監督自身の体験に基づく部分もあるのでしょう。
そういう部分から見ると、直接的な描写はないものの、やはり戦争って一体なんなのかと考えてしまいますね。
映画としての完成度が素晴らしいだけではなく、戦争に対する強烈なメッセージを感じ取ることが出来た作品でした。

↓DVDでは邦題がちょっと違っているようですね。

抵抗-死刑囚は逃げた [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • メディア: DVD



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coco030705

こんにちは。
おもしろそうですね。
>戦争って一体なんなのかと考えてしまいます
どう考えても無駄なこととしか思えないのに、人間はなぜ
戦争をするんでしょうね。愚かな行為です。
こういう作品をつくることが、せめてもの「抵抗」かもしれません。
いつか、戦争のない世界が実現することを夢みて。
by coco030705 (2010-05-03 18:30) 

トミュウ

> ココさん
こんばんは!nice!とコメントありがとうございます。
モノクロの画面から伝わる緊張感がとても良い作品でした。
本当に、戦争のない世界が来ると良いと思います・・・!
by トミュウ (2010-05-03 23:28) 

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