「冷たい熱帯魚」 を見てきました。

2010年　日本
監督　園子温

マイ・ベスト映画の１つになったと言っても過言ではない『愛のむきだし』の園子温監督の最新作です。
予告や雑誌で見た時からとても楽しみにしていました。

小さな熱帯魚屋を経営する社本は若い妻・妙子と年頃の娘・美津子と３人で暮らしていますが、ある日スーパーマーケットで美津子が万引きをしたため呼び出されて向かいます。
偶然万引きを見つけたという村田はスーパーの店長と知り合いで、巨大熱帯魚店のオーナーでした。

美津子ちゃんのためにはシッカリ仕事をすることが必要・・・という村田とその妻・愛子の勧めで、美津子は熱帯魚店で住み込みで働くことになります。
社本はパワフルな村田の勢いに押され、彼の「もうけ話」に参加するかどうか迷い始めます。
しかし、契約の場に来ていた投資者の１人・吉田が巨額の投資を渋ったことを理由に事務所で毒を飲まされ殺されます・・・！
「逆らうと皆こうなるんだよ！」という村田の迫力に押され、社本は吉田の「死体処理」の手伝いをすることになってしまいます・・・。

これまた園監督らしいパワー溢れる作品でした。
なんといっても村田＝でんでんの怪演っぷりが素晴らしい！
雑誌やポスターの怪しげな広告に自分が登場しちゃう社長ってなんとなく怪しい感じがしますが、そういう感じが存分に出ているだけではなく、そのパワーに圧倒されて、なんとなく魅力的に思えてしまうというところも非常に良かったと思います。

妻・娘を守るためと脅され、どんどん犯罪に加担して行く社本＝吹越満も良かったですね〜。
特に最後の方の豹変っぷりったら・・・もういろいろ麻痺しちゃってどうでも良くなって・・・みたいな感じ良かったです。
女性陣、愛子役の方も妙子役の方も妖艶さ加減、美津子役の子のフレッシュさ加減も良かったと思います。

この映画、実際に起きた殺人事件がベースになっているということで、元の事件も少し調べてみました。
そうしたら元の事件も映画に負けず劣らず衝撃的で、映画には結構元の事件の内容が反映されているということに驚きました！
「ボディを透明にする」本当に言っていたんですね・・・！

といった残忍な事件をモチーフにしつつも、時折笑える内容も交えながら、目を離せないパワーでガガガっと押して行くという、わたしが持っている園子温監督のイメージ通りの作品で、怖いだけではなくとても楽しめました。
結構グロいシーンも多くてそういうのが苦手な方にはなかなか勧めにくいし、救いもない映画ですが、見れて良かったです！

園監督の過去の作品も是非見てみたいですね。
と同時に、今後どういう題材を扱ってどういう作品を作ってくれるのかも楽しみにしたいと思います。