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「ランド・オブ・プレンティ」 を見ました。 [映画:ラ行]

2004年 アメリカ=ドイツ
監督 ヴィム・ヴェンダース

ヴェンダース はいつも気になる監督の一人なのですが、実はあまりそんなに見ていないんですよね。
今回は「9.11以降のアメリカ」が描かれた映画であるこちらを見てみることにしました。

主人公のポールは、ベトナム帰還兵なのですが、テロリストなど国家に対する脅威を壊滅するため「個人的に」パトロール活動をしています。
夜な夜なおかしい夢(白昼夢?)を見たり、ちょっとPTSDというか、後遺症に悩まされているといった感じじです。

もう一人の主人公ラナは、イスラエルより最近帰国し、母親からの手紙を届けるため、叔父のポールを探しています。
宣教師の娘である彼女は、ホームレス支援活動に参加し、伝道所で暮らすようになります。

ポールの妄想はすごいものがあって、どんな些細なことでも「テロリスト」と決めつけて監視したり尾行したりと、ちょっとやっぱりヘンなんですよね。
謎の薬品?が積まれたトラックを追いかけ、積まれていたのは洗剤だった・・・とか、本人が大真面目なだけに笑えてしまいます。
しかし、その洗剤も、実は本当にテロ活動の一旦なの?といったような感じになっていって、もしかすると本当にポールは大ネタを掴んだんだろうか?と思いつつ、じっと見てしまうんですよねぇ。

そんなポールに対し、ラナは純粋に「役に立ちたい」という気持ちで接します。
普通、ちょっとヤバいかもこの人・・・と思いそうな所を、恐るべき包容力です。
ポールが目を付けていた怪しいホームレスの男が路上で殺害されてしまい、ポールとラナはその兄を訪ねてトロナへ一緒に行くことになります。
ポールは、ホームレスの男が何らかの「組織」に関わっていると踏み、そのアジトを探すために・・・。
ラナは、家族の元に遺体を届けてあげるために・・・。
この食い違いっぷりも面白いんですねぇ。

ポールがこの活動を始めたきっかけが9.11だったということが、後で分かります。
その日お互いが何をしていたか。ということについて話をするシーンが良かった、というか、なんかきっと同じ境遇の人が思う「リアルな」気持ちなんだろうなと思いました。
自分もなんだか本当に起こったことなのかどうか実感が浮かばなかったような、そんな気がして、自分はその時どう思ったか・・・ということを思い出しました。
ポールのとち狂ったまでの「テロ警戒」は、現在のアメリカのメタファーなのであろうということをどこかで読んで、なるほどそうなのかと思いました。
笑える所は面白く、メッセージとして伝えたいことはちゃんと伝える。という作り方はすごいと思いました。


ランド・オブ・プレンティ スペシャル・エディション

ランド・オブ・プレンティ スペシャル・エディション

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • 発売日: 2006/05/12
  • メディア: DVD


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コメント 2

kimion20002000

TBありがとう。
低予算、短期間で、この題材をここまで仕上げちゃう、ヴェンダースはやはり骨がありますよ。
by kimion20002000 (2007-02-07 17:22) 

トミュウ

> kimion20002000さま
こんばんは!コメントありがとうございます!
本当に、桁違いの低予算だったんですね〜。
ブログ読ませていただいてびっくりしました。
それをこのような作品にできるのは、やはりヴェンダースはすごいですし、それだけ「伝えたいこと」があったんだろうなと思います。
by トミュウ (2007-02-07 23:26) 

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