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ピアソラ、自身を語る [本]

ナタリオ・ゴリン 著  斉藤充正 訳
河出書房

アルゼンチンタンゴ、バンドネオンといえば真っ先に思い浮かぶのはアストル・ピアソラですよね。
映画などでもよく使われているため、CDも何枚か持っていたりするのですが、惜しくも1992年に亡くなってしまいましたが、この本はその直前に彼が語った言葉などが主になっています。

著者であるナタリオ・ゴリンがピアソラの自宅でインタビューを実施する、という所からこの本は始まります。
ピアソラは最初にバンドネオンを持ったとき、初めて自分のバンドを結成したとき、そしてあまりお客さんもいないようなバーで演奏をしていたときのことなどの回想が語られます。

当時は特にアルゼンチンでは認められず、結構いい歳になるまで生活が苦しかった、という話が衝撃でしたね。
天才と呼ばれる人達にはそういう風に「時代がついて来れなかった」的な人も多いですが、ピアソラもその一人だったんですね〜。
ただ、そういう境遇にあっても、彼は「自分の音楽は誰にもまねができない」という確固たる信念を持って進んでいきます。

ピアソラの言葉の節々に「自信」が見え隠れするのは、それだけたくさん勉強をしてきたということの現れなんですね。
著名な人(ナディア・ブーランジェ!)などに師事するなど、すごい勉強家だったということが分かります。
そのような理論的な裏付けがあって、さらに彼の音楽家としてのそれこそ唯一という才能があって、あの音楽があるのかと感動しました。

この本の後半部分は著者ゴリンの回想と彼の周りにいた人達の話が掲載されています。
周りの人達皆が「ピアソラはすごい音楽家だった」という話をしていますが、ピアソラと確執があったというプロデューサーのアルド・パガーニ、また彼の息子のダニエル・ピアソラの話はちょっと異色な感じがして興味深かったです。
パガーニとダニエルは、お互いの主張が真っ向から対立していて興味深いです。
ピアソラ自身はあまりお金的な部分に頓着しなかった所もあったようですし、やはりビジネスなんだな〜と思いました。

ピアソラ自身の記憶を元にしていますが、たくさんの人達や出来事を本当に詳しく覚えているのにも結構感心しました。
個人の名前が多すぎて、これは誰だっけ?という所も多かったのですが・・・そんな自分のような読者のために、登場人物一覧が巻末にあったのは嬉しかったです。
また、大変な情報量の充実したディスコグラフィーも・・・!資料という意味でも、読み応えのある本だと思います。



ピアソラ自身を語る

ピアソラ自身を語る

  • 作者: ナタリオ・ゴリン
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2006/07/11
  • メディア: 単行本


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