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「日本解放戦線 三里塚」 を見てきました。 [映画:ナ行]

1970年 日本
監督 小川紳介

日本のドキュメンタリー映画監督として多くの作品を残した人ですね。
山形国際ドキュメンタリー映画祭を創設に携わった方としても有名だそうで、わたしはそれほど詳しく知らなかったのですが、本格的なドキュメンタリー映画ってどんな感じかな〜と思って見に行ってみました。

小川監督は小川プロダクションを設立後、成田空港建設に反対している三里塚の住民と生活を共にしながら、この闘争に関わる「三里塚」シリーズを多く残しました。
今回の作品もこのシリーズの1つで、大きなストーリーの中の一部という感じではあります。

冒頭、空港敷地内のボーリング作業が始まりました。
ここに住む農民の方々が大勢作業車をとり囲み、反対の声を上げながら抗議活動をしています。
ボーリング作業をしている作業者には、以前ここに住んでいながら空港公団の説得に従い、空港建設に賛成をした人も含まれていました・・・。
この男性に対しても「裏切り者」と非難ごうごう。

その後は、反対活動をしている人達それぞれの考え方を追って行きます。
誰かの家に集まり、皆が自分の考えをとうとうと語るのですが、初めはたくさん残っていた農民の方々も徐々に減ってきています。
ある1人も、初めは親族みんなで戦っていたのに今は自分だけ、そうなると家族のつながりよりも同じ「反対活動家」どうしのつながりの方が大事になってくる・・・というようなことを話しています。

激しい抗議活動の描写は本当に初めだけで、あとはこんな感じで皆の話が続いて行くこの作品、三里塚シリーズの中でも「人々内面を追う」という取り組みが新鮮でもあります。
まぁ自分としては、もっと公団VS住民!みたいな派手な戦いを想定していたので少々肩すかしをくらいましたが、みんな迷いながらやっていたんだな・・・というのが分かります。
なんというか、彼らの語ることは皆同じようなことが多くて、「活動家同士の人としてのつながり」的なモノがやけに強調されるんですね。
活動に加わる人が徐々に減っていき、きっと彼らの中でも気持ちが揺らいでいるという部分があったのかも知れません。
だから、自分に向け、更に同じように思っているかも知れない他の皆に向け、声に出して敢えて言うことでなんとか自分を保っていたのかな〜と思いました。

今は既に成田空港は完成していて、三里塚闘争当時のことを知る人も少なくなっているかも知れません。
そういう時代になってから見ると、この地に以前住んでいた方たちは今どうしているのだろうか、と考えてしまいます。
ドキュメンタリーの本領ともいうべき淡々とした描写により、いろいろ考えさせられた映画でした。


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