「12人の怒れる男(1957)」を見ました。 [映画:英数字など]
1957年 アメリカ
監督 シドニー・ルメット
日本やロシアでもリメイクされている超名作ですね。
だいぶ前に1度見たことがあったんですが、久しぶりにまた見てみたくなりました。
日本で裁判員制度が始まるから・・・って訳ではないと思うんですけどね。
舞台はある夏の日の裁判所の1室。
スラム街で少年が父親を殺害した、という事件の審判のため、12人の陪審員達がこの部屋に集まります。
冷房もない蒸し暑い部屋で、結果も分かりきっているこの事件、皆はさっさと終わらせて帰りたい、または野球を見に行くからすぐ終わらせよう・・・なんて言う人までいます。
しかし、最初の投票で全員が「有罪」とするかと思いきや、1人の陪審員が「無罪」と判断しました。
この事件には殺人に使ったナイフもとして提出されているし、目撃情報もある。なにより普段から父親に虐待を受けていたという動機もある。
ではなぜ無罪とするのか・・・とキレ気味で問いただす人もいる中、その1人は証拠や目撃情報の不審な点を挙げ、1つ1つ検証することにします。
この事件の様子というのが映像としてはいっさい出てこず、観客は陪審員達の話からその様子を知ることになります。
でもその描写が本当に具体的で、セリフや再現する動作だけで状況が見えるっていうのが本当にすごいです。
提出された証拠などが、詳細に検証して行くうちに「本当にあの少年が殺人をしたのか」ということが確証できなくなっていくんですね。
それが次々と具体的に確認され、真実が見えて行く様子は鮮やかです。
また、陪審員達は職業も出身地も違います。
この少年と同じスラム育ちの人や、スラム育ちの人を明らかに差別する感情を持った人もいます。
彼らの生い立ちや経験がこの議論に多いに影響を与えて行く所も良いんですよね。
ほとんど1つの部屋の中、12人の他には登場人物もいない。
それなのに94分では短すぎる位見応えがあり、独特の緊張感が本当に素晴らしいです。
映画の中での陪審員達の白熱した議論は、実際12人の俳優の演技力の戦いでもあるんですよね。
そういった意味ではヘンリー・フォンダをはじめとする12人の俳優の方々、皆力強く素晴らしい演技力です。
これをもうすぐ陪審員制度が始まるというこの時期に見ると、映画としての面白さだけではなくいろいろなことを考えさせられます。
まずは、真実を正確に見極めなくてはならない、という意識を持つこと。
そして、先入観や自分の個人的感情に惑わされず、客観的に議論をする必要があるということですかね。
あまり自己主張をしない日本人と言われますが、彼らのように熱い議論を戦わせ、真実を見つけることができるのか・・・。
難しい問題かもなーと思います。
どちらにしろ、この映画の面白さは50年以上経っても全く色あせず、しかも何度見ても、結果を知っていても本当に楽しく見ることができます。
また何年か後に見てみたいですね。
監督 シドニー・ルメット
日本やロシアでもリメイクされている超名作ですね。
だいぶ前に1度見たことがあったんですが、久しぶりにまた見てみたくなりました。
日本で裁判員制度が始まるから・・・って訳ではないと思うんですけどね。
舞台はある夏の日の裁判所の1室。
スラム街で少年が父親を殺害した、という事件の審判のため、12人の陪審員達がこの部屋に集まります。
冷房もない蒸し暑い部屋で、結果も分かりきっているこの事件、皆はさっさと終わらせて帰りたい、または野球を見に行くからすぐ終わらせよう・・・なんて言う人までいます。
しかし、最初の投票で全員が「有罪」とするかと思いきや、1人の陪審員が「無罪」と判断しました。
この事件には殺人に使ったナイフもとして提出されているし、目撃情報もある。なにより普段から父親に虐待を受けていたという動機もある。
ではなぜ無罪とするのか・・・とキレ気味で問いただす人もいる中、その1人は証拠や目撃情報の不審な点を挙げ、1つ1つ検証することにします。
この事件の様子というのが映像としてはいっさい出てこず、観客は陪審員達の話からその様子を知ることになります。
でもその描写が本当に具体的で、セリフや再現する動作だけで状況が見えるっていうのが本当にすごいです。
提出された証拠などが、詳細に検証して行くうちに「本当にあの少年が殺人をしたのか」ということが確証できなくなっていくんですね。
それが次々と具体的に確認され、真実が見えて行く様子は鮮やかです。
また、陪審員達は職業も出身地も違います。
この少年と同じスラム育ちの人や、スラム育ちの人を明らかに差別する感情を持った人もいます。
彼らの生い立ちや経験がこの議論に多いに影響を与えて行く所も良いんですよね。
ほとんど1つの部屋の中、12人の他には登場人物もいない。
それなのに94分では短すぎる位見応えがあり、独特の緊張感が本当に素晴らしいです。
映画の中での陪審員達の白熱した議論は、実際12人の俳優の演技力の戦いでもあるんですよね。
そういった意味ではヘンリー・フォンダをはじめとする12人の俳優の方々、皆力強く素晴らしい演技力です。
これをもうすぐ陪審員制度が始まるというこの時期に見ると、映画としての面白さだけではなくいろいろなことを考えさせられます。
まずは、真実を正確に見極めなくてはならない、という意識を持つこと。
そして、先入観や自分の個人的感情に惑わされず、客観的に議論をする必要があるということですかね。
あまり自己主張をしない日本人と言われますが、彼らのように熱い議論を戦わせ、真実を見つけることができるのか・・・。
難しい問題かもなーと思います。
どちらにしろ、この映画の面白さは50年以上経っても全く色あせず、しかも何度見ても、結果を知っていても本当に楽しく見ることができます。
また何年か後に見てみたいですね。
はじめまして。これ大好きな映画です。超名作。面白い。
日本の『12人の優しい日本人』はリメイクと言うよりパロディに近いコメディタッチな映画ですが、これも面白かったです。
ロシア版リメイクは自分としてはちょっとダメでした。
by ヂュヌヴィエーヴ・F・ビヂョンド (2009-04-25 21:07)
こんばんは☆
これは面白い映画ですよね。かなり前にTVで見たので、
記憶は薄れているんですが、おもしろかったという印象が
強く残っています。
>セリフや再現する動作だけで状況が見えるっていうのが本当にすごい
これはいわゆるセリフ劇なんですよね。今のCGを駆使した映画とは違って、俳優の演技力がものをいう世界ですね。アメリカ映画にもこんないい時代があったんですね。
ジョン・ウーが「ハリウッドはもう撮るべき映画が尽きている。特殊効果に頼った映画ばかりになっている。」といっているそうです。
セリフ劇のおもしろさ、をハリウッドにももう一度思い出して欲しいものです。
そういえば、ウディ・アレンがアメリカを去ったのも、そういう理由だったのかしらと思ったりしました。
by coco030705 (2009-04-25 23:07)
> ヂュヌヴィエーヴ・F・ビヂョンド さま
初めまして、こんばんは!
nice!とコメントありがとうございます!
本当に、いつ見ても楽しめるなと改めて感じました。
『12人の優しい日本人』も、昔見たことあります。
あんまり記憶にないですが、楽しかった覚えがあります。
by トミュウ (2009-04-26 21:02)
> ココさま
こんばんは!
nice!とコメントありがとうございます!
おっしゃる通り、セリフの映画なんですよね。
演技力の勝負の緊張感も、非常に良かったと思います。
最近のハリウッドの映画の撮り方では、このような作品は出来ないかも知れないですね。
ジョン・ウーもウディ・アレンも、ハリウッドの限界のようなものを
感じていたんでしょうね、きっと。
by トミュウ (2009-04-26 21:06)