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「倫敦から来た男」 を見てきました。 [映画:ラ行]

2007年 ハンガリー=ドイツ=フランス
監督 タル・ベーラ

タル・ベーラという監督も原作のジョルジュ・シムノンもこの映画で初めて知ったのですが、予告を見たときから何となく気になっていた作品です。
アカデミー賞女優ティルダ・スウィントンの出演も気になるポイントです。

港の近くの駅で夜間監視をしている鉄道員のマロワン。
彼は港に停泊する船をじーっと見つめています。
しばらくすると、彼はロンドンから来た男ブラウンが殺人をする現場を目撃してしまいます。
殺された男と、男が持っていたトランクは海に落ちます。
マロワンがトランクをを拾い上げると、その中には大金が入っていました・・・。

マロワンは1枚ずつお札を乾かし、またトランクの中にしまいます。
彼は警察や鉄道会社に報告することはせず、何も言わずにいつも通りに家に帰って来て、妻と会話をして、そして明るい寝室のベッドに横になるのでした。

しばらくして、ロンドンから6万ポンドの現金盗難事件を捜査する刑事がやってきて、ブラウンと彼の妻のところに訪れます。
・・・と、ざっくり書くとこんな感じで、ストーリーは結構シンプルな感じです。

ですが、このシンプルなストーリーを描くための映像表現が半端じゃありません。
冒頭のシーンからまず驚愕するんですが、カメラの動きが恐ろしく遅いんです。
もう動いているんだかいないんだか分からないくらいで、何かがゆっくりと見えて来てやっと動いていると気づく位です。

そして1つ1つのシーンが長く、しかもほとんどセリフがありません。
説明をしてくれる部分がほとんどないため、見ている人は自分で何が起きているのか考えなくてはなりません。
で、結局話や登場人物が掴みきれず、さらに良く分からない感じになって行く・・・という感じで、ちょっと難しかったなというのが正直なところです。

長回しというのは俳優陣にとってもセリフは長いし、ミスが許されないし・・・でものすごい緊張感がある気がします。
そしてこの映画はセリフがない長シーンも多いので、それこそ目や体で語らなくてはいけないですよね・・・そういう意味で、俳優さん達の演技は本当に素晴らしかったです。
ティルダ・スウィントンもさすがという演技です。

必要のないセリフや説明的なカットをとことんまで削って、「抑制の美学」という表現が非常に良く似合うカッコイイ作品でした。
そのせいでちょっと眠くなるところもあったのは確かなんですが・・・。
ジム・ジャームッシュやガス・ヴァン・サント監督が影響を受けた、と話す通り、まさしく最近のジャームッシュやガス・ヴァン・サント監督はこういう抑制の利いた作品が多いですね。

ところでタル・ベーラ監督の他の作品といえば『サタンタンゴ』あたりが有名なようですが、なんと438分!という長さで、なかなか気軽に見るというわけにはいかないですね・・・。
劇場での上映も多分なかなか難しいでしょうし、DVDも日本では発売されていないようですし、幻の映画って感じで興味がわいて来てしまいますね。

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クリス

こんばんは。
この作品、二日酔いにはきつかったけれど、決してつまらない訳じゃなかったんですよね。寝てしまいましたが^^; 
カメラの長まわしに耐える俳優の演技が、よかったと思います。

by クリス (2010-01-11 21:56) 

トミュウ

> クリスさま
こんばんわ!nice!とコメントありがとうございます。
そうなんですよね。
疲れてないのに、眠気が・・・^^;
でも演技は皆すごいと思いました。
by トミュウ (2010-01-11 22:58) 

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