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「抱擁のかけら」 を見てきました。 [映画:ハ行]

2009年 スペイン
監督 ペドロ・アルモドバル

アルモドバル監督の作品は全部見ている訳ではないですが、好きな監督の1人です。
ペネロペ・クルス主演の重厚な愛の映画です。

主人公の脚本家、ハリー・ケインは、盲目でありながらエージェントのジュディットや彼女の息子ディエゴのサポートもあって、特に不自由なく過ごしています。
そんな彼はある日、エルネスト・マルテルという実業家が亡くなったというニュースを知り、その直後、実業家の息子のエルネストJr.が彼の元を訪れます。
今はライ・Xと名乗るエルネストJr.は、ハリーに自分が監督する映画の脚本を依頼しますが、ジュディットもハリーも、2度と自分たちに近づくなとライ・Xに警告します。
14年前に起きたある事件・・・ハリーの視力と大切なものを奪ったその事件が、ライ・Xの登場で思い出されてきます・・・。

14年前、ハリーはメテオ・ブランコという名で映画監督として活躍していました。
彼の新作コメディのオーディションを受けるため、1人の女性・レナがやってきます。
彼女はかつては女優を志していたものの、エルネスト・マルテルに病気の父親を救ってもらった恩から彼の愛人となっています。
しかしレナの美しさに一目で心を奪われたメテオは、彼女をコメディの主役に抜擢し、映画の撮影に入り、2人の距離も急速に縮まって行くのでした・・・。

レナ=ペネロペ・クルスの男性を虜にする魅力全開で、これならメテオもエルネストも夢中になってしまうよね〜と納得しきりでした。
愛人モードの女らしいスーツ姿と、コメディ映画モードのオードリー・ヘプバーン風のキュートな姿と両方とも堪能できて、非常に良かったですね。

そしてこの映画はいろいろな形の愛が見えてくる作品です。
エルネストがレナに抱く執着的で、それがどんどんエスカレートして行く愛も一つの形ですし、メテオとレナの情熱的な愛も一つの形。
その中で、ジュディットのハリーに対する献身的なサポートが本当に印象的でした。

ジュディットは一時期恋人同士だった頃からずっとハリーのことを思っていて、ハリーがレナと一緒にいた頃は嫉妬心もあったと素直に認め・・・そしていろいろ責任も感じていたところもあったのでしょう。
その彼女がラストで見せる涙は本当にいろいろな思いが詰まっていて、ちょっともらい泣きしそうになりました・・・。
ハリーとディエゴが一緒に脚本を執筆するなどのエピソードもとても良くて、最後の方でその秘密が分かってくるんですが、ちょっとベタかなと思いつつも嬉しくなりました。

話は過去と現在を言ったり来たりするし、更には映画内映画もあるしで結構盛りだくさんなんですが、それでも1人1人のキャラクターが丁寧に描かれているためなのか、分かりにくい印象は全くないです。
映画の撮影やプレミア上映などの話題も興味深かったし、とても心が温かくなる映画でした。
アルモドバル監督の作品、まだまだ見ていない作品も多いので、いろいろチェックして行きたいと思います。


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coco030705

こんにちは。
この映画はいろんな要素が含まれていて、素敵でしたね。ヨーロッパの
恋愛映画という感じで、恋愛そのものに焦点が当てられていて、
恋愛が引き起こす人間の醜さ、悲しさ、そして恋愛のすばらしさが
堪能できました。

大阪の映画館では、客入りが悪かったのですが、東京はどうでしたか。
大阪の人間はかなり個性的なので、こういう映画は受けが悪いのかしら、
と思ったり。大阪人は、わかりやす~い映画が好きなんですよ。(^^)

by coco030705 (2010-03-08 11:08) 

トミュウ

> ココさん
こんばんは!nice!とコメントありがとうございます!

>恋愛が引き起こす人間の醜さ、悲しさ、そして恋愛のすばらしさ
そうですね、いろいろな形があって、それぞれいろいろな想いが
詰まっている感じで深いな〜と思いました。

わたしが見に行ったのは六本木でしたが、結構お客さんいましたよ。
でも、他の作品のお客さんの方が多かったですね。
それこそ『アバター』とか・・・どこの人も分かりやすい映画の方が
好きなのかな〜と思います(^ ^)
by トミュウ (2010-03-17 00:42) 

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